花粉症・アレルギー性鼻炎

花粉症とは?

花粉症とはアレルギー性鼻炎の一種で、特に花粉が原因となって、くしゃみや鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどを引き起こすアレルギー疾患です。その症状によって日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼすことがわかっています。喘息・アトピー疾患とならび、現在の統計では花粉症の人口は3,000万人以上、国民の4人に1人がスギ花粉症と考えられます。


どんな症状

●くしゃみ
●鼻水
●鼻づまり
●眼のかゆみ
が一般的ですが、喉のかゆみ、喉の痛み、咳、皮膚のかゆみ等が出ることがあります。
また特に症状がひどい方は、頭痛、体のだるさも出ることもあります。


季節による花粉の種類

一般に花粉症というとスギ花粉によりおき、本格的には2月中旬から4月中旬まで飛散します。
しかし、スギ以外にもさまざまな植物の花粉が花粉症の原因になり、一年を通して花粉症症状が起こる可能性があります。
関東では、以下のような花粉の飛散が認められます。


通年性アレルギー鼻炎とは?

通年性アレルギー性鼻炎とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が、季節問わずあらわれる疾患です。
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因(アレルゲン)は、ダニ、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛などが知られています。
ダニは梅雨の時期に増え、秋になると寒くなり減るためこの春から秋にかけて特に症状が強くなります。

アレルギー疾患は小児期に多く、年齢が進むとともに、発症するアレルギー疾患が移行する特徴(アレルギーマーチ)があります。
アレルギー疾患の代表的なものとしては、鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎食物アレルギーなどがあります。このうち、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーは乳児期から2歳までに、喘息は4歳までに90%が発症すると言われています。これに対し、アレルギー性鼻炎は学童期から増加していきます。


どうしてアレルギーが起こるの?

私たちの体には、「免疫」といって、自分の体の成分と違う物、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくるとこれを異物(アレルゲン)として認識して攻撃し排除する仕組みがあります。アレルギー反応も広くは免疫反応のひとつですが、アレルゲンに対して反応する際に過剰に反応してしまい、自分自身を傷つけてしまうものをアレルギー反応と呼んでいます。


鼻の中で何が起こっているの?

アレルギー性鼻炎の方の鼻の中では、鼻水があふれ、鼻の粘膜が腫れて敏感になっています。粘膜が腫れることで、鼻の通りが悪くなり鼻づまりが起こります。また、鼻粘膜が敏感になるため、くしゃみや鼻水がさらに出やすくなります。


花粉症・アレルギー性鼻炎の治療は?

シーズン前の治療

①初期療法

花粉症の症状が出る前から、お薬による花粉症の初期療法を始めていると、症状の発症を遅らせ、飛散シーズン中の症状をやわらげることができます。また、初期療法は早期に症状を改善させることもでき、結果として、処方される全体のお薬の量を減らすこともできます。
スギ花粉症の場合には、2月中旬までに薬の服用を開始していただきます。


②レーザー治療

レーザー治療は、アレルギー性鼻炎や花粉症などのくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状に効果がありますが、特に鼻づまりへの効果が高い治療です。
花粉の本格的に飛散している時期には行えないものの、治療効果は半年から2年ほどあります。また、健康保険の適応が認められていますので、3割負担で1回1万円程度で治療できます。



③舌下免疫療法

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法です。
治療をうけることで「アレルギー性鼻炎を治す」または「長期にわたってアレルギー性鼻炎の症状をおさえる」ことが期待できます。現在、スギ花粉症、ダニアレルギーに対し行っています。
スギ花粉症に対しては、本格的に飛散していない6月~11月までの期間に治療を開始できます。ダニアレルギーの治療は開始時期に制限はありません。



シーズン中の治療


①花粉やダニなどのアレルゲンの除去、回避

●外出時の注意点

マスクやメガネ、スカーフなどを着用し、花粉の目や鼻への侵入を防ぎましょう
花粉の付着しやすいウールなどの衣類の着用は避けましょう
晴れた日、風の強い日などは、花粉が飛びやすいため、外出は控えましょう

●帰宅時の注意点

玄関に入る前に、衣類に付着した花粉を払い落としましょう
手洗いや洗顔、うがいを行い、花粉を洗い流しましょう

●室内での注意点等

外に干していた洗濯物などは、付着した花粉を払い落としてから取り込みましょう
花粉の飛散量の多い日には、花粉の侵入を防ぐため、ドアや窓は閉めておきましょう
こまめに室内を掃除しましょう
睡眠を十分にとって、体調を万全にしましょう
ストレスはためないように心がけましょう
喫煙や飲酒などは控えましょう

 


②薬による治療

●抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、特にくしゃみと鼻水に効きますが、鼻づまりにも効くものもあります。また、服用を続けることでより効果が増すという特徴があります。作用の強い薬は眠気を起こしてしまう場合があります。

●抗ロイコトリエン薬

抗ヒスタミン薬が主にくしゃみと鼻汁に効果が高いのに対し、抗ロイコトリエン薬は鼻づまりに効果があります。即効性は劣るものの眠気は起こりません。

●点鼻ステロイド薬

くしゃみ、鼻水、鼻づまりのすべてに効果があります。即効性は劣るものの使い続けることで高い効果を得られます。また、鼻粘膜のみに効果があり、全身の副作用は発現しにくい薬です。

●漢方薬

漢方治療は症状そのものを抑える治療と、病気になりやすい体質を改善して病気になりにくい体を作る治療に分かれます。やや効果の持続に劣るものの、妊娠中や授乳中にも使用することができる比較的安全な薬が多いのも特徴です。

●血管収縮薬

血管収縮薬は、市販の点鼻薬の多く使われている薬です。鼻粘膜の血管を収縮させ、一時的には鼻づまりを抑えます。ただし、使い続けると鼻づまりが逆に悪化するので注意が必要です。どうしても鼻づまりで寝れないなどやむを得ない場合以外には使用しないことが賢明です。